1977 年 51 巻 8 号 p. 483-488
4種の従属栄養培養および独立栄養培養によって得たE. gracilis細胞の凍結乾燥品をペプシンとトリプシンによる人工消化実験に用いた.E. gracilis細胞はすべて高い人工消化率を示し,特に光照射下に従属栄養で培養したGreen株(GL細胞)は両酵素による高い消化率を示した.GL細胞を主とし,ネズミ飼育試験でユーグレナ・タンパク質の栄養価を求めたところ,真の消化率で僅かに劣ったが,PER,生物価,NPUにおいてGL細胞はカゼインに比肩しうる値を示し,すぐれた栄養価を持つタンパク質であることがわかった.熱エタノール処理したGL細胞は栄養価低く,貯蔵多糖をあらかじめ除去したGL細胞は無処理のGL細胞と変らない栄養価を示した.光照射下培養したBleached株細胞はGL細胞よりやや低い生物価を示した.
ネズミ飼育試験は大阪市立環境科学研究所神戸保氏の,またューグレナ大量培養は当研究室中野長久博士の協力と助言を得た.厚く感謝する.本研究の費用の一部は文部省科学研究費に依った.記して謝意を表する.