日本農芸化学会誌
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Chlorella regularis体内に取り込まれた銅の性状
中島 暉堀越 孝雄坂口 孝司
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1977 年 51 巻 8 号 p. 507-511

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抄録

銅イオンを高濃度に集積したクロレラ藻体について,銅イオンの体内における存在状態,結合状態を解析するため,2,3の実験を行なった.
(1) EDTAの洗浄効果について検討した結果,藻体に取り込まれた銅のうち,17~19%がEDTAにょって溶出されることが認められた.
(2) ESRにより,EDTAの洗浄効果について解析した.その結果,藻体中のCue2+吸収スペクトルはED-TA洗浄の前後において変化することが観察され,また,吸収強度はEDTA洗浄によって25%程度減少することが認められた.これらの結果より,クロレラ体内に取り込まれたCu2+の結合状態には少なくとも2種類の様式があり,そのうちの一つの結合様式は,EDTAで容易に置換される配位子をもち,このCu2+との配位結合は,Cu2+とEDTAとの結合よりも弱い結合であることが推定された.
(3) 細胞内に取り込まれた銅の分布をSchneider変法により検討した.その結果,49%程度が細胞内可溶性画分に,31%程度が酸可溶性画分に,また,13%程度が脂質画分に見出された.
(4) 細胞内可溶性画分に含まれる銅の存在状態について,Sephadex G-100カラムクロマトグラフィーにより検討した.その結果,高分子画分と低分子画分にそれぞれ銅のピークが認められ,両ピークにおける銅の存在比は1:2.65であった.

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