1978 年 52 巻 12 号 p. 575-580
1. ショ糖を用いて,浸透圧を上昇させた場合,濃度0.2~0.3M以上でプラスモリシスが生じ,呼吸活性は低下した.
2. 呼吸活性の低下はpHによって異なり, pH4ではショ糖濃度0.6M付近で消失するが, pH7では0.5M付近からやや回復する.
3.ショ糖濃度上昇に伴い,呼吸活性の至適pHが酸性側から,中性側に移動することが認められた.
4. 浸透圧による呼吸活性変化と菌の表面電荷の関係を求めるためにコロイド滴定を行い,本菌は見かけ上,無電荷に等しく,浸透圧の上昇にも大きな変動は認められなかった.
5. 浸透圧上昇に伴い,本菌のリン脂質とTNBとの反応性が低下し,プラスの電荷を担うリン脂質の存在様式が変化する可能性を認めた.
終りにのぞみ,本菌を供与してくださった早稲田大学理工学部応用化学科宇佐美昭次教授に深く感謝いたします.