日本農芸化学会誌
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Aspergillus属菌の生産する細胞外イヌラーゼ (P-II) の性質について
中村 豊彦丸木 誠一中津 誠一郎上田 誠之助
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1978 年 52 巻 12 号 p. 581-587

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抄録

(1) Aspergillus niger-12の生産する3つのイヌラーゼの中の一つ(P-II)をゲル濾過法等により電気泳動的に均一な状態まで分離精製した.
(2) 本酵素の作用の最適pHは5.0付近,最適温度55°C, pH4.0~7.0の範囲では安定であった.
(3) 熱安定性については, pH5.0, 30分間で, 50°C以下で安定であった.
(4) 本酵素は,Mn2+により活性化され, Hg2+, Ag+およびPCMBにより顕著な阻害が認められた.
(5) 本酵素は,イヌリン,ショ糖,ラフィノースに作用するが,バクテリアレバンに作用しない酵素であった.
(6) 本酵素は,イヌリンを100%加水分解し,イヌリンに対する作用機作は,イヌリン分子のフルクトース末端からフルクトース単位に作用するexo型の酵素であった.
(7) 本酵素の推定分子量は59,000で,イヌリンに対するKm値は1.87×10-3Mであつた.

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