農業経済研究
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報告
食料の量的リスクと課題
──国内外の食料安全保障概念と対応策の系譜を踏まえて──
株田 文博
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2012 年 84 巻 2 号 p. 80-94

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抄録

食料の量的リスクへの対応には,歴史的に,商品経済や物流の進展等の経済的要因と実効性のあるガバナンス等の政治的要因の両面が影響してきた.日本では,急速な経済成長,食料の輸入依存度の漸増等を背景として,国内農業生産と輸入の比率である食料自給率に着目した特有の食料安全保障概念を形成してきた.本報告では,食料の量的リスクへの潜在的な危害要因が,内外の食料供給力に加え,消費者の入手可能性・アクセス,フードチェーンの弾力性,輸入食料アクセスなど多様に存在することを明らかにするとともに,東日本大震災を契機として様々な分野でリスク研究が活発化しており,この分野でもリスクアナリシスの考え方に基づく実証研究の必要性を論じる.

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© 2012 日本農業経済学会
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