マルクス経済学における農地集積と農地市場問題に関する研究レビューを行った.農地集積と農地市場の分析は,農業の資本主義化と関連づけて行われてきた.すなわち,農民層分解論として研究が進められ,大規模経営と小規模経営との経営間競争が注目されてきた.また歴史的には農地市場構造の特徴に着目した研究が行われ,農地価格論の発展がみられた.とくに注目されるのは,耕地分散制のもとでの農地価格決定理論である.日本の高度経済成長による農地価格の高騰は,経済分析の限界をもたらした.1970年頃に現れた今村・梶井理論は,稲作の階層間生産性格差を発見し,農民層分解の加速を展望した.それ以降,農業の担い手に注目した研究が展開する.