2016 年 88 巻 1 号 p. 83-98
本稿では,農村地域政策の検討を行った.まず初めに,「旧基本法」から「新基本法」への転換準備期において,農村地域政策が政策体系の中に位置づけられてきた過程を整理した.しかる後,「新基本法」が制定されてからの農村地域政策の実態と課題を明らかにした.中でも,「中山間地域等直接支払制度」に焦点をあて,制度の変遷と効果を踏まえながら政策課題を検討した.同制度は,農村地域に様々な効果をもたらしてきた.しかしながら,政府予算は不十分であり,対象農地の区分設定や交付金単価も15年間改定されていない.早急に同制度が地域実態に即しているかどうかの検証を行い,さらに充実した直接支払制度へと改善していく必要がある.