人間活動が地球の許容限界を超えるとされるなか,自然を利用して人類の生命を維持する農業・食料システムの変革こそが,多くの地球規模課題群の核心課題であると認識されている.その変革には,複雑な要因を総合的に考量するための自然・社会・人文科学にわたる学問の結集が不可欠であり,その中央に位置する農業経済学こそが解決策を提案すべき立場にある.日本などの多様な環境で育まれた農業の経験,自然観,思想の中に,従来の欧米中心の学問とは異なる新たな視座,手掛かり,可能性がある.広義の農業経済学(自然共生のための社会経済学)は,人類を持続的に生存させるための稀有な役割を担っている.