2024 年 96 巻 2 号 p. 97-103
講演の目的は演者の半世紀にわたる研究を振り返り,農業経済学の特色を明らかにすることにある.研究は主として農家の経済行動,農村の共同行動,日欧の農政改革をカバーしている.政策の分析については,研究成果をシンプルに分かりやすく社会に発信してきた.農業経済学のひとつの特色は,絶対的な必需品としての食料に焦点を当ててきた点にある.もうひとつは個々の生産者の行動に加えて,農村コミュニティの役割を重視していることである.日本の農業経済学は経済学のひとつの分野ではない.農業経済学会の会員の構成が示唆するように,学会は経済学,農業経営学,農業史,農村社会学などに取り組む人々の学際的な研究活動によって支えられている.