抄録
障害者自立支援法(以下自立支援法)の成立により、従来目的があいまいであった障害
者施設の日中活動支援が就労等目的に応じて明確化されることとなり、そのためのプログ
ラムが自立支援法において規定された 1 。 また、自立支援法の成立により制定されること
となった障害福祉計画の基本方針よると、「平成 23 年度中に福祉施設から一般就労に移行
するものを現在の 4 倍以上とすることをめざす」、「平成 23 年度までに現在の福祉施設利用
者のうち、2 割以上の者が就労移行支援を利用することを目指す」、「労働継続支援利用者の
うち 3 割は雇用型をめざす」、とされており(厚生労働省,2006)、福祉的な就労から可能
な限り一般的な就労に結びつけていくことが期待される。
これら障害者の一般就労において、特に知的障害者の一般就労を考える際に必要となる
要素の1つとして就労上の安全管理の必要性があげられている(日本障害者雇用促進協会,
2000)。また、知的障害者の就労の多くは製造業を中心とした産業分野を中心としており、
労働災害を防ぐための労働安全教育を就職の前の段階で行っておく必要性が認められてい
る。(日本障害者雇用促進協会,2000)。また、全国重度障害者雇用事業所協会の調査結果
によると、知的障害者の教育訓練所の留意点として各事業所が指摘しているもののうち、
安全に関する事項が最もおおく指摘されており(労働省・日本障害者雇用促進協会,1993)、
横浜市福祉局の調査結果によると、知的障害者を雇用しない理由尋ねたところ回答のあっ
た記号 1680 社のうち、45.4%が安全管理が難しいという理由をあげている。(横浜市福祉
局,1995)。
これからのことから、就労上の安全管理教育を行うことが知的障害者の一般就労におい
て必要とされていることがわかる。