抄録
障害者自立支援法第88 条にある障害福祉計画に基づく全国各自治体の数値目標の全集計が、2007 年に厚生労
働省によりまとめられ公表された。その内容からは、国がこの計画を策定する上で、各自治体に示した方向性に
概ね合致した結果が示されている。これを踏まえて、新たなる障害者プランが策定され、障害福祉計画と整合性
をもって進める旨の内容が提示されている。このような動向の中で、知的障害者を対象とした地域移行支援につ
いて多くの自治体が、その取り組みを示す、マニュアルを開示する、あるいは成果をアピールするものは散見さ
れるようになった。(2007 年厚生労働省関係課長会議資料参照)
一方、知的障害者の地域移行に先駆的に取り組んできた施設では、その成果を公表しているものの、その提示
方法が、施設から年度ごとに何人移行したかを移行先の種別毎に、その数値を示すものが、主に目に留まる。
のぞみの園での地域移行支援においても、同様の掲示方法によって数値を示すことによって成果が認められる
が、それのみでは、数値結果に直接反映されない支援プロセスは見えてはこなく、評価されるべき支援や労力を
費やして取り組んできた障壁への対応が埋もれたままになる。
今後全国的に地域移行支援は展開される中で、移行者の実績数値のみによる評価に留まるのではなく、地域移
行進捗状況を評価し、何が大きな課題であるのか、それへの取り組みを評価するものが求められてくると予測さ
れる。そこで本研究ではその取り掛かりとして、のぞみの園における地域移行進捗状況のアセスメントを試作検
討する。