2019 年 12 巻 p. 122-127
国立のぞみの園では認知症の罹患者が増加傾向にある中で,周辺症状が現れる前に認知症の発症に気づくなど,早期発見が喫緊の課題となっている.そこで2010(平成22)年から開始したDSQIIDの調査結果を用いて,全入所者を対象とした2017(平成29)年1月と2018(平成30)年1月の調査結果を分析し,早期発見の効果的な方法を検証した.その結果,重度の知的障害があっても「情緒が不安定になる」,「今までにできていたことができなくなる」,「活力が低下した印象を受けるようになる」,「動作が緩慢になる」といった兆候が見られたときには,認知症を疑いつつ,支援方法や支援計画を見直していくことの必要性が示唆されたと同時に,DSQIIDを最重度の知的障害者の認知症の早期発見に活用できることが明らかになった.