2019 年 12 巻 p. 112-121
本研究は,生活場面での支援の中で,特に食事場面での偏食や服薬拒否,盗食,早食い等の行動について,群馬県内の障害者支援事業所における支援状況を明らかにし,支援が必要な行動の見られる利用者の現状や状態像を把握するとともに,支援事例を収集し,今後の実践の参考となる基礎資料とすることを目的とした.アンケート調査の結果,行動自体へのアプローチではなく,環境設定や利用者との関わり方の工夫など,利用者本人を取り巻く環境へのアプローチが共通的に実践されており,行動の改善にも概ね有効であることが示唆されていた.本人の行動や意識から完全に行動をなくすことは困難であり,本人を変える支援だけではなく,環境を変える支援を行うことが効果的であり,そのため,本人の様子をアセスメントして支援の検討を継続することが重要であると考えられる.また,偏食等の行動に対して,何をもって改善されたというのか,支援者の都合になっていないか,といった課題があることが回答からうかがえ,支援結果の評価方法を検討することが重要であると考えられる.