2011 年 4 巻 p. 26-35
障害者自立支援法で,地域生活支援事業として位置づけられた移動支援事業の実態について明らかにすることを目的にした.先行研究から,(1)移動支援事業には地域格差が存在する,(2)障害児に対象を限定した場合,移動支援は日中一時支援や児童デイサービスの代替補完の役割を担っている,(3)移動支援を利用している人は,60歳以上の人も存在する,(4)移動支援事業所の課題としては,従事者不足があげられる,以上の4点を仮説として設定し検証した. 研究方法としては,まず,全国の市区町村を対象とした市区町村悉皆調査,次に事業所アンケート調査,第3に事業所ヒアリング調査を実施した. その結果,移動支援の実態として,(1)地域格差の存在,(2)障害児サービスの代替補完の役割,(3)介護保険サービスの代替補完の役割,(4)従事者不足と福祉有償運送の課題などが明らかとなり,移動支援事業は様々なサービスの代替補完としての役割が明らかとなった.