看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2018東京
セッションID: 2018.1_ES-2
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看護薬理学教育セミナー2
がん患者さんのQOL向上に役立つ、さまざまな鎮痛剤および漢方薬の薬理作用に基づいた処方—看護師の科学的視点(気づき)が緩和ケアのレベルを上げる—
上園 保仁
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抄録

がん患者はがん自身、そして抗がん剤の副作用等の体の痛みに悩まされます。さら に就労の問題、なぜ私ががんに?といった社会的、スピリチュアルな痛みにも苛まれ ます。これらの患者の痛みを取り去るには、このトータルペインへの対応が重要です。 患者が納得して生きるため、それを支える緩和ケアの実践は、さまざまな分野のプロ フェッショナルからなる多職種チーム医療が中心となります。なかでも患者およびそ の家族との最前線で活動する看護師の役割は極めて重要です。私たちは、国立がん研究センターでがん患者のQuality of Life向上のための基礎 から臨床へつながる研究を行っています。患者の症状緩和に効く薬がない場合は、 新薬を開発すること、もしくは既存の薬物を役立つように応用することが求められま す。その中で、中国より伝わり日本人の体質に合わせて発展を遂げた「漢方薬」に注 目し、抗がん剤で起こる副作用の改善のための研究を行っています。

抗がん剤や放射線治療を受けるがん患者は高い頻度で口内炎を発症します。この 口内炎は「食べる、飲む、話す」という基本的生活に悪影響を及ぼします。私たちは 漢方薬「半夏瀉心湯」のうがいが口内炎の早期治療を促すことを基礎研究および臨 床試験で明らかにしました。

口内炎の痛みは時にとてもひどく、さらに食べられないことで全身状態が悪化する こともあります。こんな時、食事の時だけでも口内炎の痛みを止め、しかし味覚や食 感まではなくさない薬はとても重要であると思われます。私たちは現在企業と共同で、 味覚、食感を損なわず痛みだけを止める「新規鎮痛薬」の開発を行っています。この ような新薬の登場は、がん患者のみならず口内炎に悩む方への福音となると考えてい ます。

医師、薬剤師、看護婦などの医療スタッフは、科学的エビデンスのある薬物を用い たいと考えます。一方患者も「有効であることがわかった薬物」を使いたいと思って います。患者の最前線で働いている看護師が、薬がなぜ効くのか、そしてなぜそれが 必要なのかを患者に正確に伝えることができれば、そしてその結果を科学的にフィー ドバックできれば、その緩和ケアチームは確実に患者に貢献していると言えます。本 日は「口内炎に用いられる薬剤」にスポットを当て、薬剤の科学的な作用機序を知り、 それをやさしく正確に伝えることの重要性を紹介できればと思います。

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© 2018 本論文著者
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