看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2018東京
セッションID: 2018.1_S1-2
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シンポジウム1
周麻酔期看護師の役割と麻酔管理
赤瀬 智子
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会議録・要旨集 オープンアクセス

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抄録

近年、患者の高齢化や病態の複雑化により外科手術件数が増加している。手術以外にも術前の説明、検査や処置の鎮痛鎮静管理等の広い範囲(周麻酔期)で患 者さんへの手術や麻酔管理における安全と充実が求められている。そこで本学では、2016年4月に大学院修士課程として周麻酔期看護師養成講座を開設した。周麻酔 期看護師とは、周麻酔期におけるCareとCureを統合した看護実践、教育、相談、調 整、研究、倫理に関する看護実践能力を持つ者であり、周麻酔期の包括的な患者管 理の充実及び患者の QOL 向上のために、麻酔管理を安全に実践できる看護師であ る。現在の日本の社会的な必要性に応じて、専門看護師(CNS)の教育課程を基準 に、専門性獲得のために麻酔の知識・技術に特化した講義・演習・実習を各大学院 が独自にプログラムを実施し、各病院内認定でその職能を果たしている。本学大学 院では、周麻酔期看護学分野修了時の到達目標は、「Care」としては CNS の教育 課程の単位を修得、修士号の学位を取得し、実践、教育、相談、調整、研究、倫理に 関する実践能力と周麻酔期の包括的な管理が理解できることとしている。「Cure」としての麻酔管理の知識・技術(医学の講義と実習)の到達目標は、麻酔科医教育ガイドラインに基づき、麻酔科後期研修医 1 年目の 3 か月修了程度と設定している。ま た、医師の役割は病気の診断、治療であるが、看護師の役割は患者の置かれている 状況を正確に判断し、患者の恒常性を維持することである。そのため、例えば、周麻 酔期看護師は高血圧の治療は行わないが、手術中の血圧上昇の症状に対しては医 師の指示の下、適切な血圧に維持する。また、術後の強い疼痛や嘔気による苦痛を 患者が示した場合には、患者の状態が正常ではないと判断し、症状に対応した与薬 や処置などのケアを行う。事前に取り決められた範囲から症状が逸脱した場合は治 療を医師が行う。

手術中の麻酔は全身麻酔薬と麻薬性鎮痛薬と筋弛緩薬などによって患者個別に 調整し、薬剤の投与量を最小限に効果を発揮させ副作用を抑えるバランス麻酔を 行っている。また、硬膜外麻酔を併用することで、術中の疼痛や術後疼痛を抑えるこ とができる。周麻酔期看護師は周術期の患者の身体状態をアセスメントし麻酔を管 理するが、アセスメントするために看護師が必要な薬剤の知識は何か今回考えてみ よう。

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© 2018 本論文著者
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