看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2018東京
セッションID: 2018.1_S1-3
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シンポジウム1
麻酔管理下の皮膚損傷の予防
永野 みどり
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会議録・要旨集 オープンアクセス

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抄録

1. 周手術期の看護と皮膚損傷 手術室で手術をする患者は、麻酔下においては感覚も意思も無くなり、医療者にすべてを任せることになります。外科医師は目的の治療としての局所の手術に集中し、 麻酔科医は麻酔と循環や呼吸などの管理に集中します。看護師は、外科医師のため に機会出しをするような介助が主役のようですが、術中の神経麻痺や皮膚損傷の予 防にも大いに貢献しています。特定機能病院のような高度医療を担う医療機関では、 長時間や特殊体位による手術も多く、術中の褥瘡が発生し易く、褥瘡予防は手術室 における術前・術後の最も大切な看護の一つと言えます。褥瘡ハイリスク加算におい ても、「6時間以上の全身麻酔下による手術」と「特殊体位による手術」が挙げられ、 予防ケアが必須とされており、診療報酬の上でもその重要性が認められています。

本格的な高齢化社会により、手術に臨む患者の多くは高齢者であり、褥瘡やスキン-テアのハイリスク状態の手術患者が増えています。また、体温を保つために温熱機能 のあるマットレスによる低温熱傷、消毒剤など薬剤による化学熱傷や電気メスなどの 対極板に関連する電撃傷など麻酔下で使用する医療機器に関連した皮膚の損傷も 多様化しています。

2. 皮膚損傷の予防 麻酔下で起こる皮膚損傷の特徴とその予防ケアについて、先行研究と実際に実施されているケアの実際をもとに、皮膚損傷を予防する日常的なケアから手術室特有 のケアまで概説します。

i. 皮膚のバリア機能を高めるケア

◆ 手術ための移動、体位支持、薬剤や医療機器・粘着テープの使用など、皮膚を損傷する リスクの高い手術の前できる皮膚のバリア機能を高めるケア

◆ ドライスキンのアセスメント、多様な保湿剤や計画的な保湿方法など

ii. 体圧の管理

◆ 長時間の手術で発生する特徴的な圧迫創DTI

◆ 手術室の除圧のケア

◆ 側臥位や腹臥位など、特殊な手術体位の除圧やずれ摩擦予防

iii. 薬剤ならびに医療材料使用時のケア

◆ 消毒剤や粘着剤の使用に伴う化学熱傷や皮膚剥離とその予防方法

iv. 医療機器使用上の皮膚損傷予防ケア

◆ 低温熱傷や電撃傷ならびにストッキングやフットポンプによる褥瘡など、医療機器を使 用することに伴う皮膚損傷の予防

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© 2018 本論文著者
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