主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2018 in 福岡
回次: 2
開催地: 福岡
開催日: 2018/11/17
NP(Nurse Practitioner)は、米 国では約 20 万 人が医 師と連 携 / 協 働し、 薬剤処方や検査指示を含めて活躍している。 日本では、大分県立看護科学大学が、全国に先駆けて 2008 年から大学院 修士課程で NPを教育してきた。その質を保証するために、NPを教育する他の 大学院と日本 NP 教育大学院協議会(略称:NP 協議会)を設立し、統一試験 も実施してきた。NP の制度化を働きかける中で厚労省の「チーム医療の推進に 関する検討会」が設置され、「看護師の特定行為に係る研修制度」が創設され た(2015 年 10 月)。これを受けて、NP 協議会の加入校は、概ね 21 区分全て の特定行為を修士課程の NP 教育で教授している。修了生は、ほぼ全ての特 定行為を実施でき、「診療看護師(NP)」と称している。
目指す像は、臨床推論に基づき症状マネジメントをタイムリーに実施できる看 護師であり、①包括的健康アセスメント能力(一部の検査オーダーを含む)、② 医療処置管理の実践能力(一部の処方を含む)、③熟練した看護の実践能力、④看護管理能力、⑤チームワーク・協働能力、⑥医療保健福祉の活用・開発 能力、⑦倫理的意思決定能力の 7 つの能力を持つことである。患者に寄り添 い、責任を持つ実践力を養うために、Physical Assessment、Pharmacology、 Pathologyを強化すると共に、自分の能力の限界を認識し、連携する態度ももつ。診療看護師(NP)は、約 350 人が、プライマリケア領域の病院、診療所、老 人保健施設、訪問看護ステーションやクリティカルケア領域の ICU や救急医療の 現場で活躍している。特に、老人保健施設にNP が勤務し始めてから、その施 設から入院する患者が半減した、看取りができるようになった等の成果が上がっ ている。
一方で、限界もある。特定行為研修制度創設により、予め手順書を取り交わ していれば、特定の医行為ができるようになった。しかし、薬剤の処方は、日本 では認められていない。慢性疾患を多数抱える高齢者では、症状緩和にも薬剤の力が大きい。NP が薬の選択・決定・処方に係わることにより、患者に与えるメリット・デメリット等について、日本薬理学会で討議されること、このシンポジウムが明 日につながり、NP の実力が発揮され、引いては、看護職の薬理学への造詣が 深まり、患者の安全・安楽につながっていくことを期待している。