看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2024石川
セッションID: 2024.2_ES-1
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看護薬理学教育セミナー1
月経に関連したトラブルに対する漢方治療
*藤本 誠
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抄録

月経に関連したトラブルで漢方の外来を受診される方は多く、特に月経困難症の訴えの症例が多い。 月経困難症とは、月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状を言い、子宮筋腫による過多月経や子宮内膜症が原因のこともあるが、器質的な 疾患が無い場合も多い。程度の差はあるが、女性の 8 割は月経困難症を 経験しているとされる。多くの女性は対症療法として鎮痛剤で対応してい るが、漢方治療を継続した場合、痛みが軽減し、鎮痛薬の使用量が減量 できることが多い。

伝統的な漢方医学的な考えでは、生体の恒常性の維持は気血水の三要 素によってなされているとされるが、月経に関するトラブルの多くは血(け つ:身体をめぐる液体で、目に見えて色が赤いもの)の異常によると捉え られることが多い。

月経困難症をはじめとする、月経に関連した不調に頻用される漢方薬 のうち、当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸は産婦人科領域の三大処 方とされるが、西洋医学的な診断での月経困難症であっても、これらの 漢方薬は漢方医学的な診察所見を基に使い分けることになっている。近 年はインターネットの普及もあって、月経困難症の方が、これら漢方薬の OTC 医薬品を購入して内服されていることも多く、これら三大処方がど のような漢方医学的な所見を持つ方に適応があるのかについて、看護職 の方には是非とも知っておいていただきたい。

当日は、陰陽、虚実、気血水理論などの漢方医学的な病態の捉え方と、 産婦人科領域の三大処方の適応病態について具体的な症例の経過ととも に解説する。

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© 2024 本論文著者
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