抄録
河川は、流水や河床の形状・材料、植生、水質、水温などの様々な要素の組み合わせによる多様な空間を有した構造となっており、そこに生息する殆どの動物は、産卵・摂食・休息・睡眠・避難等の目的に応じて個々の空間を使い分けることで、生活史を完結している。このような構造を「環境構造」と呼ぶと、その内容を明確にし評価することは、良好な河川生態系の保全、復元にとって重要な課題となる。このような観点から、優れた生態系を有する河川で環境調査を実施してきたが、ここでは、その概要を紹介した後、現地の代表種であるウグイ、オイカワ、カワヨシノボリ、ヒゲナガカワトビケラが生活史を完結あるいは継続することが可能かどうかを明らかにして、調査区域の環境構造を評価した。すなわち、文献調査に基づいた生息条件と調査した環境項目や数値シミュレーションで得た水理・河床特性との比較から、そこが良好な生息場であることを提示した。