日中言語文化
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日本近代に於ける中国戯曲の翻訳
翻訳文体と翻訳理論との関係を中心に
孟 偉
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2024 年 17 巻 p. 119-129

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抄録

日本近代学者の中国戯曲翻訳文体は国訳、歌訳、口語訳がある。国訳では、常に解題、注釈等の方法で行き届けないところを補充する。その結果、翻訳は紹介の域から抜き出し、単語の意味や出典等に深く分け入って探求することになった。歌訳は原文の韻と調を反映することができる、その特徴は「戯曲の翻訳は戯曲である」。しかしながら、形式のみを注意する歌訳は「中国の馨香」が失ってしまう欠点もある為、学者達は「知人论世」、「温故知新」や「老於本国之文学」という理論を用いて翻訳を指導する。口語訳は「訓詁学」を基礎とすることを強調し、忠実的に原文の語る事や作者の心を確実な言で再生すべきであると主張する為、やがて、「言、事、心」三位一体の翻訳理論まで生み出された。概して、翻訳文体の変化に従って、翻訳の形態も変わり、最終的に翻訳理論が形成され、そして、翻訳文体と理論は戯曲翻訳の質と研究の深さに影響を与える。

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