抄録
本研究は中国漫画を日本の市場向けにローカライズが行われる際に、課題となるオノマトペの翻訳について研究を行い、中国漫画で使用されたオノマトペ関連表現と、その日本語訳の処理法を指摘するものである。対象6作品に対して調査を行い、中国語のオノマトペ関連表現を通用型、限定型、描き短文の3つに分類した。また、中国漫画のオノマトペ関連表現の日本語訳は対等処理法と収縮処理法の2つに、さらに拡張処理法の仮説を指摘した。これらの処理法は、翻訳者の存在感が弱められ、中国語の異質性も抹消されるが、いずれも中国漫画が日本市場で受容されることを優先して行われる方法である。