抄録
要旨 癌の肺や肝臓などの全身臓器への転移は,しばしば終期末では遭遇するが,胃転移は比較的稀である.過去20 年間で胃転移は16 症例であった. 原発巣は16例のうち肺癌,乳癌,前立腺癌が最も多く,計10 例であった.内視鏡診断では7 例(44%) は癌の転移の疑いであったが,4 例(25%) は原発性胃癌の疑い,5 例(31%)は非腫瘍性病変の疑いであった.胃病変は, 多発性は5例(31%),単発性は11 例(69%) であった.5 例(31%)については胃転移のみで他臓器への転移は見られず,8例(50%) については原発巣と同時期に胃転移が認められた. 原発癌発症から胃転移までの最長期間は8 年4 ヶ月であった.内視鏡像からは, 胃転移巣は原発胃癌や潰瘍性病変などの良性病変との鑑別が困難である.担癌患者においては,胃転移の可能性も念頭におき厳重な経過観察が重要であり,胃生検による病理組織学的検査が必要である.