日大医学雑誌
Online ISSN : 1884-0779
Print ISSN : 0029-0424
ISSN-L : 0029-0424
原著
洞不全症候群を合併した発作性心房細動に対する 肺静脈隔離術の有用性について
古川 力丈渡辺 一郎奥村 恭男永嶋 孝一高橋 啓子渡邉 隆太新井 将若松 雄治黒川 早矢香大久保 公恵中井 俊子平山 篤志磯 一貴國本 聡園田 和正戸坂 俊雅
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2019 年 78 巻 2 号 p. 105-110

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抄録
背景:発作性心房細動停止時に長い洞停止を呈 する症例は徐脈頻脈症候群 (BTS) と診断され,その治療 はペースメーカー植込みと抗不整脈薬の併用となること が多い.BTS に対して,カテーテルアブレーション (CA) による心房細動 (AF) 治療により,徐脈頻脈症候群の根 治が可能であったとの報告が散見される.今回,著者ら は当科で経験した BTS に対する CA の成績を報告する. 方法:AF に対して CA を施行した BTS10 症例の経過 を検討した. 結果:4 症例では,肺静脈隔離以外に左房に対する CA も要した.1 症例では,AF が再発したため,再セッ ションを要した.平均 28±7 カ月の経過観察中,9 症例 では AF の再発を認めず,徐脈に基づく症状も認めず, ペースメーカーの植込みを回避出来た.他の 1 症例では, AF の再発は認めなかったが,持続する洞徐脈,洞停止 を認めたため,ペースメーカー植込みを施行した. 結語:BTS に対する CA は AF 及びその停止時に出現 する洞停止の双方に有効な治療法である.
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