抄録
背景:発作性心房細動停止時に長い洞停止を呈
する症例は徐脈頻脈症候群 (BTS) と診断され,その治療
はペースメーカー植込みと抗不整脈薬の併用となること
が多い.BTS に対して,カテーテルアブレーション (CA)
による心房細動 (AF) 治療により,徐脈頻脈症候群の根
治が可能であったとの報告が散見される.今回,著者ら
は当科で経験した BTS に対する CA の成績を報告する.
方法:AF に対して CA を施行した BTS10 症例の経過
を検討した.
結果:4 症例では,肺静脈隔離以外に左房に対する
CA も要した.1 症例では,AF が再発したため,再セッ
ションを要した.平均 28±7 カ月の経過観察中,9 症例
では AF の再発を認めず,徐脈に基づく症状も認めず,
ペースメーカーの植込みを回避出来た.他の 1 症例では,
AF の再発は認めなかったが,持続する洞徐脈,洞停止
を認めたため,ペースメーカー植込みを施行した.
結語:BTS に対する CA は AF 及びその停止時に出現
する洞停止の双方に有効な治療法である.