[背景]鉄⽋乏は慢性疼痛を増悪させ、炎症が併存すると鉄代謝が阻害され補充効果が乏しくなる。栄養精神医学では、鉄⽋乏と慢性炎症を同時に評価し介⼊することが重要である。
[症例]40 歳代⼥性。掌蹠膿疱症性⾻関節炎により21 歳時から激しい全⾝痛が持続し、ビオチン療法やトリガーポイント注射でも改善に乏しかった。感冒を契機に疼痛の悪化と⿐閉を認め、上咽頭炎を疑い上咽頭擦過療法を実施したところ炎症が軽減し、ある程度疼痛・⼼⾝の不調が改善したが不⼗分であった。疲れやすさ・⽴ちくらみ・いらいらを伴い、⾎液検査でフェリチン低値を認め鉄⽋乏症と判断した。鉄サプリメントとビタミンB・C を併⽤し、亜鉛・マグネシウムなどの微量栄養素も補充した。以後、鉄補給と慢性炎症コントロールを並⾏することで症状はさらに改善し安定した。
[結論]鉄⽋乏を伴う慢性疼痛では、栄養素補充のみならず慢性炎症の制御が症状改善に不可⽋である。栄養精神医学的評価は、疼痛と⼼⾝の不調の双⽅を改善する実践的アプローチとなる。