市立大町山岳博物館研究紀要
Online ISSN : 2432-1680
Print ISSN : 2423-9305
育雛期におけるライチョウLagopus muta japonicaの空間利用に対する飼育管理者の影響
内田 木野実佐藤 真
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2017 年 2 巻 p. 43-48

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抄録
ライチョウLagopus muta japonicaは2015年に生息域外での飼育が開始し,飼育繁殖技術の確立や,野生への再導入を目指すために,今後飼育個体数の増加が期待されている.しかし,過去の飼育例では30日齢までの死亡率が高かったことから,飼育個体数を増やしていくためには,育雛期の死亡リスクを高める様々なストレス要因の排除が必要であるが,ストレス要因として飼育者の存在が考えられる.本研究は,市立大町山岳博物館で飼育されているライチョウ4羽を対象に,育雛期のライチョウに対する飼育者の影響について空間利用を指標として評価を行った. まず,映像による行動記録から,ぬいぐるみを設置した温源室の利用割合が高くなり,成長にともなって温源室の利用割合が減少傾向にあることが明らかとなった.次に,飼育者の有無によって空間利用に違いがあるか検証したところ,各部屋の利用割合に差はなかったが,飼育者がいる場合に飼育者から離れた空間の利用割合が有意に高くなった.このことは,ライチョウの雛は飼育者を認識することで,より飼育者から離れた空間を利用したことを示唆する.
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© 2017 本論文著者
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