市立大町山岳博物館研究紀要
Online ISSN : 2432-1680
Print ISSN : 2423-9305
ライチョウLagopus muta japonicaの飼育下における雛の成長様式
佐藤 真
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2017 年 2 巻 p. 35-42

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抄録
絶滅が危惧される日本のライチョウLagopus muta japonicaの生息域外保全において,将来的な野生復帰のために再導入に耐えうる個体の創出が必要であるが,現段階では飼育個体数が少ないため、飼育繁殖技術の向上を目的とした飼育方法がとられている.野生下とは栄養条件や運動量が異なることから,飼育個体の成長は野生個体と異なることが予想される.野生個体と飼育個体の成長過程を比較することで飼育方法改善の指標とすることができるが,野生下および飼育下のライチョウの成長様式や形態的特徴に関する報告は少ない. そこで萌芽的な調査として,日齢が既知である飼育下の雛の形態に焦点を当て,成長曲線の推定を行った.対象個体には,東京都恩賜上野動物園,富山市ファミリーパーク,市立大町山岳博物館で飼育されている35日齢までの雛の形態情報を用い,体重,嘴長,自然翼長,跗蹠長の平均値についてLogistic成長曲線,Gompertzの成長曲,Bertalanffyの成長曲線を当てはめ,モデル選択を行った. その結果,雛の体重(オスのみ)の成長をGompertzの成長曲線で、嘴長の成長をBertalanffyの成長曲線で説明できることを示唆した.自然翼長及び跗蹠長について,より尤もらしい成長曲線の推定のために,データの収集を継続し、再検討する必要がある.本報告は,飼育個体に対する精緻な栄養管理や早期の獣医学的ケアを可能にし,野生個体の成長様式が明らかになった際に,野生への再導入に向けた飼育手法の改善に寄与する.
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© 2017 本論文著者
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