市立大町山岳博物館研究紀要
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企画展「大きな水がめとしての北アルプス、そして水のまち大町」
鈴木 啓助関 悟志栗林 勇太関本 景香
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2023 年 8 巻 p. 39-58

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抄録
槍ヶ岳から北流し南転する高瀬川、針ノ木大雪渓を水源とする篭川、カクネ里氷河を源のひとつとする鹿島川、仁科三湖から流れ下る農具川、そして市街地や田畑が広がる平坦部には堰と呼ばれる人工の水路が縦横に巡り、それらは人々の営みを支えています。大町市はまさに「水のまち」です。 居谷里湿原や唐花見湿原がある東山も重要な水源のひとつですが、大町市に豊富な水をもたらす大きな水がめは北アルプスです。日本は偏西風帯に位置しているので、天気の移り変わりを支配する高気圧や低気圧は、一般に西から東へと移動していきます。特に寒候期には、チベット・ヒマラヤ山塊の南北に分かれていた亜熱帯ジェット気流が、日本の上空で合流するため、強い西風が吹くことになります。これらの西からの擾乱の移動に対して、南北に連なる北アルプスは障壁の役割を果たしています。そのため、北アルプスには寒候期の雪のみならず暖候期の雨も大量にもたらされます。北は白岳から南は槍ヶ岳までの北アルプスの峰々を西端とする大町市は、大きな水がめを背負っているのです。水は低きに流れることから、高いところに水がめを有する地理的立地が、大町市を「水のまち」たらしめる所以なのです。 本企画展では、我々を含めた生き物に不可欠な水が循環する仕組みから解き明かし、北アルプスなどの山岳で雪や雨などの降水量が多くなる理由、白いダムとしての山の雪の役割を解説します。次に、大町市における水と人との関わりについて、先史時代から現在へと辿り、先人が淡水魚を捕獲する際に利用した民具なども展示します。そして、今も町並みに残る水に関わる営みを紹介します。人々は水と密接に関わりながら生きてきましたので、水にまつわる民話もたくさん残っています。 2022年4月23日から7月18日までの間に開催された企画展「大きな水がめとしての北アルプス、そして水のまち大町」の展示内容を、ここに資料として記録します。
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© 2023 本論文著者
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