2021 年 34 巻 1 号 p. 1-16
近年、許容値などを設定するための参照値あるいはPODとして、NOAELを用いる手法に変わって、ベンチマークドース法が適用される事例が増えてきている。特に食品関連の化学物質の許容値設定において、欧州食品庁やWHO・FAOの合同専門家会議での用量反応評価ガイドラインでは、ベンチマークドース法の適用がデフォルトとなることが示されている。ベンチマークドース法によりBMDLを算定する手法については、従来は実験データに最も適合する統計モデルを各評価機関が設定したモデル選択規準に従って選定してBMDLを算出していたが、近年は二値データおよび連続値データをモデル化するのに適した標準的な数種の数理モデルを平均化してBMDLを算出することが主流になってきている。さらに実験データに数理モデルを適合させる手法は、従来の頻度論的手法からベイズ推定を用いた手法に代わりつつある。