2011 年 48 巻 p. 16-20
チタンは人体に無害で組織適合性が良いため,歯科インプラントなどの歯科臨床によく用いられてい る.特に,チタンを多孔質化することで,その弾性係数をヒトの皮質骨に近づけることができるほか,気孔に生成した骨が浸透し,チタンと骨が強固に結合することが期待される.しかしながら,歯科領域において,チタンは歯面塗布液や歯磨剤に含有するフッ素の存在下で腐食することが報告されている.本研究では,多孔質チタンの気孔率が腐食に及ぼす影響を調べるため,45,100~125,250 μmの粒径を持つ球状純チタン粉末を放電プラズマ焼結(SPS)によって焼結し,出来上がった異なる気孔率を有する多孔質チタンを供試材として実験を行った.その結果,100~125μmの試料が最も腐食しやすく,45μmの試料が腐食しにくいことが分かり,チタンの防食に繋がる因子が明らかになった.