2026 年 43 巻 2 号 p. 92-96
甲状腺癌に対する放射線治療は,放射性ヨウ素内用療法(RAI)と外照射(EBRT)に大別される。近年,強度変調放射線治療(IMRT)や体幹部定位照射(SBRT)等の高精度放射線治療の進歩により,甲状腺癌診療におけるEBRTの役割が再定義されている。局所領域再発に対しては,IMRTを用いることで脊髄や唾液腺等の正常組織を温存しつつ,高い局所制御とQOL維持が期待できる。特に他臓器浸潤例では,血管出血や瘻孔形成のリスク管理の観点から,RAI抵抗性判明後かつ分子標的薬導入前の適切なタイミングでの介入が肝要である。また,骨転移や脳転移といった遠隔転移病変に対しても,SBRTにより,疼痛緩和のみならず長期予後の改善が示唆されている。今後,手術や全身療法と高精度放射線治療を最適に組み合わせる集学的治療の確立が,甲状腺癌診療のさらなる発展に寄与すると考えられる。