1997 年 12 巻 1 号 p. 31-46
本稿では、「計算機通信網上に多数の市民が参加できる議会を構築すること」が、社会心理学著Irving L. Janisの指摘した「集団思考による政策の質の低下」という古典的問題に対する対策になるという初期認識を基礎に、この種の議会システムの構築上の問題点および問題点の克服法について議論を行い、その実現可能性を検証した。具体的には、目標とするシステムの構築法を合計23の原則の組立として自ら提案することにより、政策立案過程の相互作用の形式性と公開性を支援し集団思考を抑制するようなオンライン議会構築の理論的可能性を示した。特に、本稿では集団思考抑制の一手段として匿名性を重視したが、討議参加者に対し匿名性を保証しつつも、その無責任な発言を防ぐことのできるシステム構築が可能であることを明らかにした。