抄録
【目的】野菜にはポリフェノールやミネラルが多く含まれており、その生理的機能が近年明らかにされている。これらの成分は喫食者の疾病などの状況によっても望まれる摂取量が異なる。また、野菜を摂取するためには非加熱や加熱調理を行うが、これによりポリフェノールやミネラルは消長する。そのため、調理操作の違いによる野菜に含まれるポリフェノールやミネラル量を把握は重要である。そこで本研究では、切栽方法3種、浸漬方法2種、加熱方法2種を組み合わせ、調理後のごぼう中ポリフェノールおよびミネラルの残存率を明らかにすることを目的とした。
【方法】切栽方法は、「輪切り」「せん切り」「ささがき」を設定した。浸漬方法は、「水浸漬」「酢水浸漬」を、加熱方法は、「水ゆで」「酢水ゆで」を設定した。各切栽方法、浸漬方法、加熱方法を組み合わせ、ごぼう中のポリフェノールはFolin-Denis法にてクロロゲン酸量を測定し、ミネラルは原子吸光光度法にて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム量を測定した。残存率は切栽のみのごぼうに含まれる量を100%とし算出した。
【結果】残存率は、ポリフェノールは8~72%であり、切栽方法および浸漬方法に関わらず、「水ゆで」に比べ、「酢水ゆで」で高かった。切栽方法別では「ささがき」で最も低かった。ナトリウムは20~54%であり、「せん切り」で低かった。カリウムは2~24%であり、切栽方法に関わらず、「酢水浸漬後水ゆで」で高く、切栽方法別では「輪切り」で高かった。カルシウムは43~72%であり、調理操作による残存率の差は小さかった。マグネシウムは31~63%であり、「せん切り」と「ささがき」では「酢水浸漬後酢水ゆで」で最も低かった。