理論と方法
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原著論文
地方都市に住む高齢女性の主観的幸福感
野辺 政雄
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1999 年 14 巻 1 号 p. 105-123

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抄録

 本稿では、岡山市に住む60歳以上80歳未満の女性の調査データを分析して、高齢女性の主観的幸福感(モラールと生活満足度)を規定する要因を探究した。その分析で得られた知見は、次の4点である。(1)健康であるほど、同居家族関係や友人関係が多いほど、高齢女性は高い主観的幸福感を持っていた。要因の中でも、健康度は、格段に大きな影響を主観的幸福感に与えていた。(2)親密な人々が同居家族としていつでも近くにいることが安心感を与えるから、高齢女性の主観的幸福感を高めると考えられる。(3)「宗教集団」と「趣味の会・スポーツ団体」といった自主加入型集団に加入している高齢女性は主観的幸福感が高かった。それらの集団に加入し、活動することで、友人関係が増えるから、友人関係を多く組織することが高齢女性の主観的幸福感を高揚させると考えられる。(4)配偶者のいる高齢女性よりも、配偶者のいる高齢女性で、家族外の社会関係は主観的幸福感に影響を及ぼすということはなかった。また、配偶者がいると高齢女性の主観的幸福感が低くなるということはなかった。

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© 1999 数理社会学会
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