抄録
近年、二次分析が日本でも脚光を浴びるようになってきたが、これらは、公開されているデータを分析するものがほとんどである。それに対して本稿は、公開されていない調査データを復元し、二次分析をおこなうものである。その分析対象は、Hunterの調査における支持(声価)のネットワークデータである。その復元のための情報は、Hunterの著書『Community Power Structure 』の図表を用いた。これらの図表が示す複数のデータの間に矛盾があるが、矛盾した場合に対応する独自の方法で復元した。Hunterは、図の見た目により、他者選択がランダムでない(偏りがある)ことを示した。それに対して本稿では、復元されたデータを使って数値により、その偏りを示した。また、その偏りが偶然起こり得る確率を求めて検証した。その結果、その偏りが偶然起こり得る可能性は、少ないことが示せた。