理論と方法
Online ISSN : 1881-6495
Print ISSN : 0913-1442
ISSN-L : 0913-1442
原著論文
オーストラリア社会の地位の一貫性と非一貫性
―1973-74年の全国調査の分析―
野辺 政雄
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 8 巻 2 号 p. 215-234

詳細
抄録
 1973-74年の全国調査データを利用して、オーストラリアの階層構造を地位の一貫性・非一貫性の視点から検討した。学歴、職業威信、所得という3つの地位変数をクラスター分析して得られた知見は、次の3点に要約できる。(1) 上層、中層、下層の3つの地位一貫クラスター、及び4つの地位非一貫クラスターが析出された。そして、一貫的地位にある人々の構成比率は49.1%であり、非一貫的地位にある人々のそれは43.6%であった。(2) オーストラリアでは、社会的資源は次のように分配されていた。まず、中高等学校、大学、高等教育大学が近年に普及したので、一般的に若い人々の学歴が高い。次に、農民の職業威信が学歴に比べて格段に高い。それから、マニュアル・ワーカーは、40歳を越えると所得が減少する傾向がある。ただし、マニュアル・ワーカーでも、自営業者は学歴や職業威信に比べて所得が高い。最後に、移民は言語や文化の違いのために、就職で不利な立場に置かれ、学歴に見合った職業に就けず、所得も低くなりがちである。これらの社会的資源の分配規則が作用して、一貫的地位と非一貫的地位の人々が出現した。(3) オーストラリアでは、地位非一貫クラスターに属する人々は、階層帰属意識や政党支持で特殊な傾向はみられなかった。むしろ、それらは、地位自体によって規定されていた。
著者関連情報
© 1993 数理社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top