脳と発達
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シンポジウムⅡ:遺伝性神経・筋疾患―診断と治療の最前線
Pompe病 (糖原病II型) における酵素補充療法とその効果に関与する病態研究の進歩
— “Pompe病骨格筋におけるautophagy” —より良好な治療効果を目指して
福田 冬季子
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2010 年 42 巻 2 号 p. 114-116

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抄録
 Pompe病は, グリコーゲンを分解するリソゾーム酵素, acidα-glucosidaseの欠損症であり, 肥大型心筋症とミオパチーを主症状とする. 乳児型および遅発型 (小児型・成人型) に分類され, 乳児型は肥大型心筋症により, 遅発型は呼吸不全により生命が脅かされる. Pompe病に対し酵素補充療法が導入され, 心筋肥厚の改善により乳児型の生命予後が改善されたが, 骨格筋症状への効果は症例により様々である. 基礎研究により, 骨格筋の治療抵抗性と進行性の骨格筋破壊に “autophagy” の機能不全が関与していることが示唆された. 治療後に残存する症状により, 今後解決すべき課題が浮き彫りにされ, 治療の一層の進歩が望まれている.
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© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
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