脳と発達
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シンポジウムⅡ:遺伝性神経・筋疾患―診断と治療の最前線
Duchenne型筋ジストロフィーに対するアンチセンス・モルフォリノを用いたエクソン・スキッピング治療
—前臨床試験の成果と臨床応用への展開—
中村 昭則武田 伸一
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2010 年 42 巻 2 号 p. 117-123

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抄録

 Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) は, ジストロフィン遺伝子の変異により筋形質膜に存在するジストロフィンが欠損し, 進行性に骨格筋や心筋が侵される致死性のX連鎖性疾患である. 最近, アンチセンス・オリゴヌクレオチド (AO) を用いてジストロフィン遺伝子変異によるアミノ酸の読み枠を修正してジストロフィンの発現を回復し, より軽症の病型に転換するエクソン・スキッピング治療が注目されている. 安定かつ安全な2'-O-メチル フォスフォロチオネートAOやモルフォリノが開発され, DMDモデル動物で有効性と安全性が確認された. オランダや英国ではエクソン51スキッピング治療の治験が進行中であり, 臨床応用可能な治療法として期待されている.

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© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
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