脳と発達
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特別講演
自閉症ヒト型モデルマウスの開発と小児神経学への展開
内匠 透
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2011 年 43 巻 2 号 p. 91-94

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抄録
 ヒト染色体15q11-13重複は自閉症の細胞遺伝的異常として最も頻度の高いものである. 染色体工学的手法を用いて, 我々は同相同領域を重複させたマウスを作製することに成功した. 本マウスは, 社会的相互作用の障害, 超音波啼鳴数の発達異常, 固執的常同様行動等, 自閉症様行動を示した. また, 発達期には脳内セロトニン異常を呈した. 本マウスは, 表現型妥当性だけでなく, 自閉症の原因である染色体異常をヒトと同じ型で有する構成的妥当性をも充たすヒト型モデルマウスである. 本マウスにより, 自閉症を含む発達障害の分子病態解明だけでなく, 新たな診断, 治療, 予防法の確立にも有効なマウスとして, 小児神経学領域における発展が期待される.
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© 2011 一般社団法人日本小児神経学会
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