2011 年 43 巻 4 号 p. 273-276
呼吸, 嚥下障害等を伴う重症心身障害児 (者) の痙性斜頸に対しA型ボツリヌス毒素 (BTX-A) 療法を行った. 対象は17.9±5.6歳 (3~51歳) の11例. 少量漸増にて5.7±2.8回 (2~11回) の施注を行った. 評価はTsui scaleを用いた. 効果と治療期間, 投与量との関係を検討した. 改善度は不変3例, やや改善以上が8例で, 治療期間が長いほど改善傾向を認めた (p<0.05) が, 投与量との相関はなかった. 施注後の呼吸嚥下障害の増強は認めず, 臨床効果として呼吸障害の軽減6/9例, 抗緊張薬の減量5例などを認めた. 呼吸, 嚥下障害を伴う患者でも, 安全かつ効果的なBTX-A療法の導入が可能であった.