脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
原著論文
学童における呼称能力の発達とひらがな読み能力との関連
小林 朋佳稲垣 真澄軍司 敦子矢田部清美北 洋輔加我 牧子後藤 隆章小池 敏英
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 43 巻 6 号 p. 465-470

詳細
抄録

 数字や線画を単独あるいは交互に呼称する課題を通常級在籍中の小学1~6年生207名に行い, ひらがな音読能力との関連を検討した. 数字呼称時間は小学3~4年生まで短縮し続け, 単音音読時間と相関していた. 一方, 線画呼称は学童期の前半で特に短縮変化が目立ち, 以降はゆるやかに変化した. 交互課題はいずれの年齢においても単独呼称より時間がかかったが, エラーがほとんどなく施行できた. 呼称能力はひらがな音読能力と関連性がみられ, 交互課題は単語音読とより強く相関していた. 日本語話者の発達性読み書き障害の病態解明の一助として, 音読異常を持つ小児の数字・線画呼称スピードを今後検討する必要があると思われる.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top