2011 年 43 巻 6 号 p. 471-475
マイコプラズマ感染後に全身倦怠感で発症した急性両側線条体壊死 (acute encephalopathy with bilateral striatal necrosis ; EBSN) の10歳男児例を経験した. 急性期の頭部MRIでは両側線条体と黒質に病変を認めた. 経過中, 錐体外路症状, 錐体路症状に加え, 黒質病変に伴うと思われる尿意切迫・頻尿がみられた. 遠隔期には頭部MRI上, 両側基底核の軽度の萎縮を認め, 臨床的には軽度のチックを残した. EBSNで脳幹病変の合併例の報告は少ない. 尿意切迫・頻尿の報告は調べた限りではなく, 本症例が初めてである. L-dopa補充療法で症状の改善がみられた. ステロイド投与は急性期の症状改善に対しての効果が明らかでなかった.