2012 年 44 巻 5 号 p. 378-386
【目的】広汎性発達障害 (PDD) と注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) に合併する読字障害の頻度と特徴を明らかにする.
【方法】4つの音読課題からなる読字検査の音読時間と誤読数を評価した. 対象はPDD 31例 (男22, 女9), AD/HD 39例 (男33, 女6). 定型発達児と比較して, 音読時間が+2.0SD以上の課題が2つ以上の場合を読字困難 (poor reader ; PR) と判定した.
【結果】PRはPDD 8例 (25.8%), AD/HD 17例 (43.6%) であった. AD/HD 39例には主訴が読み書き困難である13例が含まれていたが, 残りの26例ではPRは5例 (19.2%) であった. また, 読み書き症状チェック表によると, PR群全例が日常生活において読みの拙劣さを有していた.
【結論】PR群は読字障害である可能性が高く, PDDやAD/HDでは, 主訴にかかわらず読字障害の合併の有無について検討すべきである.