脳と発達
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原著論文
高機能広汎性発達障害へのペアレントトレーニングおよび注意欠陥/多動性障害の併存診断の有用性についての考察
富澤 弥生佐藤 利憲横山 浩之
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2013 年 45 巻 1 号 p. 33-37

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抄録
 【目的】注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) の子どもの心理療法として開発されてきたペアレントトレーニング (PT) を, AD/HD併存と診断・疑診された高機能広汎性発達障害 (HFPDD) の子どもを持つ保護者 (以下HFPDD+AD/HD群) に行い, 子どもの行動への効果を検討した.
 【方法】HFPDD+AD/HD群と, HFPDDを除外されたAD/HDの子どもをもつ保護者 (以下AD/HD群) とにPTを行い, 子どもの行動観察 (家庭状況版) および保護者のSUBI (心の健康自己評価質問紙) 比較した.
 【結果】PTは, AD/HD群と比較して, HFPDD+AD/HD群の子どもの行動をあまり改善しなかった. また, PTは, AD/HD群の保護者のSUBI指標による「心の健康度」「心の疲労度」を改善したが, HFPDD+AD/HD群については改善しなかった.
 【結論】近年, PDDとAD/HDとの合併診断を許容することが増加しているが, AD/HDの子どもを対象として開発されてきたPTをAD/HDの併存診断されたHFPDDの子どもの保護者に行うことは避けたほうがよい. HFPDDの子どもをもつ保護者のために特化した, 新たな方策が期待される.
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© 2013 一般社団法人日本小児神経学会
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