2013 年 45 巻 6 号 p. 452-456
重症乳児型ネマリンミオパチーは, 先天性ミオパチーのなかでも特に重症なタイプで, 乳児期早期から人工呼吸管理や経管栄養が必要となることが多い. 近年, 原因遺伝子の1つとしてαアクチン蛋白をコードしているACTA1遺伝子の変異が報告されるようになったが, ほとんどが孤発例である. 今回, 同一変異を有しながら異なる経過をたどった兄弟例を経験した. 兄は重症で, 気管切開後に終日の人工換気を行っている. 弟は比較的軽症で非侵襲的人工換気療法により在宅管理ができたが, 1歳すぎに突然死した. ACTA1遺伝子変異によるネマリンミオパチーでは, 本症例のような家族内発症や同じ変異でも重症度に差異がありうることを再認識する必要がある.