2014 年 46 巻 1 号 p. 39-43
ミトコンドリア病の代表的な病型の1つであるMELASの卒中様発作の成因として, 動脈の拡張障害が考えられており, 血管拡張能をもつL-arginine (L-Arg) が治療薬の1つとして提唱された. 今回, 頻回の卒中様発作 (9歳から5年間に14回) を起こしたMELASの女児を経験し, 初発時よりL-Arg (0.5g/kg) の静注療法を行い, その効果を検証した. 投与後24時間以内に頭痛と嘔気が消失し, 神経症状が改善した場合を有効とした. 発症後4時間以内に静注開始できた4回は全て有効であったのに対し, それ以後に投与した5回では1回しか有効でなかった. また, 早期投与のほうがMRI病変の予後も良い傾向であった. 今後の検討によりL-Arg静注療法が有効となる条件設定が必要と考える.