脳と発達
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シンポジウム4:発達障害はいつ形成されるか? 先天性? 後天性? あるいは両方か~発症および病態修飾のメカニズムについて~
環境要因の影響について
鷲見 聡
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2015 年 47 巻 3 号 p. 220-224

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抄録

 自閉症心因論などの間違った環境要因説の影響により, 発達障害 (神経発達症群) と環境要因に関する議論が停滞してきた. しかし, 発達障害児を含むすべての小児にとって環境要因は重要であり, 科学的視点からの検討が必要である. 10年程前に「メディア視聴による言葉遅れ」が議論され, 日本小児神経学会などが提言を発表した. その後, 夜更かし型の生活, 外遊びの減少など様々な生活習慣が変化してきた. それらの変化が発達障害児により深刻な影響を与えている可能性もあるが, それに関する科学的データは得られていない. 現時点では発達障害児に限定して考えるのではなく, すべての小児を対象に適切な生活環境作りに努めるべきと思われる.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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