脳と発達
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シンポジウム4:発達障害はいつ形成されるか? 先天性? 後天性? あるいは両方か~発症および病態修飾のメカニズムについて~
環境と遺伝の相互作用
杉江 陽子
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2015 年 47 巻 3 号 p. 225-229

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抄録

 発達障害は, 自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder ; ASD), 注意欠陥/多動性障害 (attention deficit/hyperactivity disorder ; AD/HD), 学習障害 (learning disabilities ; LD) のいずれも単一の疾患というより症候群的要素の強い疾患群である. その原因は単一ではなく, 発症には遺伝が関連していることは多くの研究からも明らかであるが, 同時に環境要因も発症に影響を与える重要な要素である. 遺伝と環境が相互に作用することにより, 発達障害の発症あるいは症状の修飾に影響しているとの観点から, 以下の項目について紹介した. ①一般的な遺伝率と環境率, ②養育環境と遺伝子の影響, ③特定の遺伝子と特定の環境の相互作用, ④出生前および出生後の環境因子と遺伝子との相互作用, ⑤生化学・組織化学のレベルでの環境と遺伝子の影響についてである.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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