脳と発達
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原著論文
重症心身障害児 (者) および神経筋疾患患者20例における誤嚥防止術の検討
渡辺 美緒椎原 隆
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2015 年 47 巻 6 号 p. 439-444

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抄録

 【目的】重症心身障害児 (者) および神経筋疾患患者の難治性誤嚥に対する誤嚥防止術について, その適応と効果, 合併症などについて評価検討する. 【方法】当院で誤嚥防止術を施行した20例 (喉頭気管分離術8例, 気管弁法12例) を対象に, その臨床像, 術後経過, 合併症などを後方視的に評価した. 【結果】対象は全例未頚定, 経管栄養であった. 手術時の年齢は3カ月~ 22歳0カ月 (中央値3歳6カ月) で3歳以下が60%を占めていた. 平均肺炎スコアは術前1.64から術後0.52と有意に低下した (p=0.007). 長期入院患者10例中8例が, 術後退院し在宅療養および施設入所となった. 術後合併症は気管切開孔および気管内肉芽を9例 (喉頭気管分離術5例, 気管弁法4例), 瘻孔形成を気管弁法の2例に認めた. 【結論】重症心身障害児 (者) および神経筋疾患患者において, 誤嚥防止術は患者の呼吸状態を改善し在宅移行を促進した. 難治性誤嚥の症例では, 患者の状態を考慮しながら誤嚥防止術の適応や時期, 術式について検討すべきである.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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