抄録
【目的】West症候群をはじめとする乳幼児期発症の難治性全般てんかんに対するvigabatrin (VGB) の有効性を検討する. 【方法】当科でこれまでにVGBを使用した12例を後方視的に調査し, その有効性を検討した. 【結果】対象はWest症候群8例, 早期乳児てんかん性脳症2例, 早期ミオクロニー脳症1例, 症候性全般てんかん1例であり, いずれも多剤に抵抗性であった. VGB投与前に, 3~10剤の抗てんかん薬が使用されていた : valproate 11例, nitrazepam 6例, 副腎皮質刺激ホルモン療法 (ACTH療法) 5例, clonazepam 4例, zonisamide 4例, など. VGBが著効したのは結節性硬化症が原因のWest症候群1例のみであった. 一過性効果は潜因性West症候群2例で認めた. 【結論】ACTH療法を含めた多剤抵抗性の全般てんかんへのVGB有効例は少ないため, 投与には慎重な症例選択が重要である.